起業独立研究会  
 マーケティング日誌(過去配信の一部から抜粋)

新聞で見つけた上手なキャッチと文章構成

ある日の朝刊に左のようなキャッチコピーを見つけました。
『タンスの奥のヘソクリが、気づかぬうちに減っていくという話。』

これはある証券会社の新聞全面広告ですが、この新聞広告の最終的な目的は「タンス預金を投資に誘導すること」です。証券会社の広告なのでそれは当然です。

この広告の「目的」に誘導するための、キャッチコピーと文章構成がとても上手かったので紹介しますね。
あなたの会社やお店のセールスレターや手紙、チラシの参考になるはずです。

■キャッチから文章の流れ
『タンスの奥のヘソクリが、気づかぬうちに減っていくという話。』

『ヘソクリをタンスの奥に大切に貯めておいても、減っていきますよ。』

『その理由は、ゼロ金利政策が解除になって預金金利も上がり始めています。』

『しかし、利息の付く銀行預金でさえインフレが進むと、その預金金額の価値は実際には目減りすることになります。』

『これからの日本はお金を貯め込んでいるいるばかりでは、自分の資産は守れない時代です。』

『投資しないことがリスクになる時代なのです。』

『投資は1日でも早く始めれば、その時間の分だけ経験が増えて、資産が増える可能性も高まります。』

『実は1万円からでも投資は始められます。』

『お金が貯まったら始めよう!ではなく、小額からでも今すぐに始めた方が経験と知識を身に付け、資産を形成する近道です。』 以上



いかがでしょうか?
「今すぐに投資を始めましょう!投資のご相談は○○へ」と訴求するのと、
上記のような納得できるストーリーを語るのとでは、どちらの方が信頼されるでしょうか?
もちろん、後者ですね。

このように見込み客に対してセールスするのではなく、見込み客に対して教育・啓蒙する訴求方法の場合、売り手側は「強引なセールスマン」ではなく「親切な指導者」「自分を導いてくれる先生」といった立場になれるのです。

このようなストーリーを作ると見込み客に対して「買って下さい!」というビジネスではなく、見込み客から「もっと詳しく教えて下さい!」と言われる立場になることができます。

「お願いします!」とあなたが言うのと、「お願いします!」とあなたが言われるのでは、その後のビジネス展開が大きく異なってくるのです。これは自分を指導者の立場に置いて、ビジネスを有利に進めるポジショニングの取り方になります。



自らイチ押す

左の写真はスーパーで見かけた豆腐です。
パッケージには「いち押し」と印刷されていました。
しかも、赤地色に白抜き文字でデカデカと。

もちろん、買いました。
だって「美味そうに思える」んですもの。



「ずばりオススメ!」
「当店のイチオシ」
「一番の美味しさ」
「特選!」


これらは誰かがあなたの商品やサービスに対して言ってくれるわけではありません。
おそらくこの豆腐も「あなたが作る豆腐は美味い!だから商品に『いち押し』と印刷してもいいよ!!」と言ってくれるから、印刷したわけではありません。

質に自信があるならば、誰かが言ってくれるのを待つのではなく、
あなたが自ら名乗って良いのです。(当然ですが、質が伴わないとリピートはありませんが・・・。)

私も含めて世の中の大半の日本人は控えめです。
でも、ビジネスでは控えめ=美徳とは限りません。

自信があるなら、自ら世に広める、アピールすることも経営者の使命の一つだと思います。



本にも書いたけど塗り絵本の傍らには色鉛筆

拙著「小さな会社が低予算ですぐできる広告宣伝心理術」にも
書きましたが、ウチの近くには塗り絵本の傍らに色鉛筆を置いて
販売している書店がありました。
マーケティング的には「クロスセル」です。
「塗り絵本」を売るだけでなく、「色鉛筆」も一緒に売って、売上げを上げよう!という戦術です。


左の写真は近くのスーパーで撮影しました。
画面左に見える「きのこのオムレツ」と書いてある
黄色いパッケージはオムレツの具材とスープです。
もちろん、「玉子売り場」の棚に掛けて販売していました。
これも「クロスセル」ですね。





ちょっと見づらいですが、左のパッケージは「きもすい」です。
さて、どこの売り場に置いてあったと思いますか?

これは簡単ですね。
うなぎの蒲焼の隣に置いてありました。





左の写真の左下に白く写っているのは「大根」です。
当然、右側で銀色に輝いているのは「秋刀魚」です。







=> 「ハンバーガーと一緒に、ポテトもいかがですか?」
=> 「塗り絵と一緒に、色鉛筆もいかがですか?」
=> 「玉子と一緒に、具材もいかがですか?」
=> 「蒲焼と一緒に、きもすいもいかがですか?」
=> 「秋刀魚と一緒に、大根もいかがですか?」

全てクロスセルです。
やらないより、やった方が儲かります。


用途の専門化、特化、差別化

普通、シャツもパンツも、普段着も仕事着も「同じ洗剤」で洗いますよね。

ある日、左の洗剤を見つけました。
洗剤には「作業服専用洗剤」と書いてあります。
なんだか、頑固な汚れも落ちそうですよね。

この商品は「頑固な汚れも落ちる洗剤です!」という売り方でも
良かったはずです。

でも、この企業は「商品特徴を述べる」ことで商品の差別化を図るのではなく、「用途」で差別化を図っているのです。
これは商品の差別化戦略の一つである「用途の差別化」です。

コーヒーはいつ飲んでも良いのですが「朝用コーヒー」があります。
紅茶もいつ飲んでも良いのに「午後の紅茶」があります。

一見すると、他社の商品と同じ内容の商品であっても「用途」を専門化、特化すると
付加価値を生み出し、差別化を図ることができます。

あなたの商品も
「大事な受験前専用」「気分がブルーな時専用」「重要な会議専用」
「お出かけ専用」「海外旅行専用」「国内旅行専用」「お見合い専用」
「落ち込んだ時専用」「振られた時専用」「気分をリフレッシュしたい時専用」・・・
頭一つでどんな商品でも用途で差別化できるはずです。



やはり、売り方である。
左はあるお店の即売コーナーの入り口に堂々と掲げられた書を
撮影したものです。

サイズも横が70〜80センチで高さは50センチほどもあったでしょうか。
とても大きく、台紙も金色に輝く立派な額装書でした。



さて、この額装書はいくらだと思いますか?
どどーん!これ210,000円!!です。
ひーっ、高いですよね。


「他にはどんな書があるのだろう??」
私は俄然興味を持ちました。
さっそく、即売コーナーの中に入ると、中にも数多くの書が展示されていました。
10万円、5万円・・・という高価な書が壁一面に展示されています。

「ん・・・、やっぱり書はみな高いんだねえ。」
と、思ったその時、高い書が掲げられている壁の下に、
小さな書がたくさん平積みになっているのに気がつきました。
壁の下に葉書サイズやA4サイズ程度の額装書が山盛りで平積みになっているのです。

そして、平積みになっている額装書の金額は概ね3千円〜5千円でした。
壁に飾ってある21万円や10万円の書を見た後では、
これらの平積みの額装書はとても安く感じました。

これも、「上手な売り方」でよね。
おそらく売れ筋は平積みの額装書です。
入り口に飾られていた21万円の額装書は「権威付け」「格付け」「威光付け」です。

マーケティングセンスのある書家ですね。
個人的にはこういう人好きです。

「私は職人だ!だから、ものづくりにだけに打ち込む。
セールスやマーケティングなんて関係ない!」という人がいますが
資本主義の競争社会の中では否応無く
こういった、ビジネスセンス、マーケティングセンスは必要だと思います。

以前、大手新聞社が主催のマーケティングセミナーに参加した時に
最前列ド真ん中の席で熱心にセミナーを受講していたのは
超有名なミュージシャンだったことを思い出しました。
良い曲を創るとともに、自身でマーケティングも勉強していたのです。

私達もマーケティングセンスのあるアーチスト、
セールスセンスのある職人、ビジネスセンスのある経営者になりましょうね!



理由
「ダイヤモンドが驚きの安さで!」
「天然真珠をあっと驚く低価格でご提供!!」

・・・「うーん、何で安いんだろう???」
そう思うことってありません?

私、刺身が好きなんですが、スーパーに買い物に行っても
あまり安いと「古い刺身なんじゃないの?」「養殖??」とか
思ってしまいます。

売り手は「安ければお客様は喜ぶはず」と思っていますが、
買い手はあまり安いと「きっと何か裏(理由)があるはず!」と思います。

そしてその裏(理由)が分からないと、購買に至らない場合があります。

左の写真は天然ダイヤのペンダントが1万500円です。しかも2本組みです。
この会社の上手なところはちゃんと裏(理由)を説明しているところです。

キャッチ部分は次のように書かれています。
「天然ダイヤ1粒石のペンダント2本組みが驚きの10,500円!
直径3.5ミリ。存在感のある1粒石のペンダント2本。
今お申込頂くとワケあり価格10,500円で大ご奉仕!」
ちゃんと「ワケあり価格」と謳ってますね。

そして、本文で次のように「ワケ」を説明しています。
「宝飾品はお店に並ぶまでにプロの目で厳しくチェックされますが、今回は使用に差し支えなく、また小さなキズが有るというだけで撥ねられてしまった物をあえて販売に踏み切りました。」

このようにちゃんと安い理由が明示されていると人間は納得します。
「なーるほど、だから安いのか!」と。

もし、あなたの扱う商品やサービスが競合や市場価格と比較して安いものである場合には、
その理由をお客さんに分かるようにちゃんと説明して下さいね。


(注意!!もちろん、この宝飾店は10,500円の商品を販売するだけでは儲かりません。
まず、10,500円の集客商品で新規客を集めて、その後はバックエンド商品を販売していくことは
成功するアントレプレナーを読んでいるあなたにはお分かりですよね。)


(余談)
心理学の実験で次のような実験があります。
コピーを取ろうとコピー機に並んでいる列に割り込む際に

(1)何も言わずに列に割り込む
(2)「急いでいるので先にコピーを取らせて下さい。」


という2パターンを試すと、圧倒的に(2)の方が列に入れる確率が高いことが証明されています。

列に並んでいる人の大半は誰でも「急いでいるはず」なので
「急いでいるので先にコピーを取らせて下さい。」という理由の内容自体には
説得力がありません。

でも、何かしらの理由があるだけで人間は相手を受け入れてしまう傾向があるのです。
理由がある方が相手に受け入れられるのです。

「助けてください!」より「困っているので、助けてください!」という
依頼の仕方の方が受け入れられやすいということになります。



お父さんが泣いて喜ぶちょっとした仕掛け
左は父の日に見かけたお父さんが泣いて喜ぶ!ちょっとした仕掛けです。
お酒売り場に「お客様へ ご自由にお持ち下さい。」とかかれたPOPが
ありました。

そこには「お父さんへの感謝状」が置いてありました。
感謝状には「いつもありがとう!」という内容の文面が印刷されており、
お父さんの名前とお子さんの名前が記入できるようになっています。


「お父さん!ありがとー!」と言いながらお酒と一緒にこの感謝状を
渡すのでしょうね。

以前、すし屋の大将が孫が描いてくれたバースデーカードを
見せてくれました。
大将はカウンター越しに「孫がねえ、描いてくれたんだよー。」といいながら
初めはニコニコしていたのですが、だんだん感極まって
涙声になっていくのです。よほど嬉しいのでしょうねえ。

私には子供も孫もいないので、その「感情」は分かりませんが、きっと子供や孫から送られる
手紙やカードって嬉しいものなのでしょうね。

このお店で販売しているのはお酒ですが、提供しているのは「家族の幸せ」ということになりますね。




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